日々の出来事を綴るブログ
by mori-hako
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2011年 12月 19日
11月、広島工業大学同窓会主催の第38回五三会の建築設計競技の審査委員をさせていただいた。
審査委員の自由な課題設定ということで、今年は「21世紀の家族像から考える新しい住宅」と題して学生ならではの視点からみえる新しい提案を期待した。テーマが幅広いだけに公開審査では5時間に及ぶ提案者との問答を繰り返しながら僕の判断にて優秀案を決めさせていただいた。とても、緊張感のある有意義な時間であった。これからも引続き家族像から見える新たな住宅というものを考えていきたい。長い時間お付き合いいただいた先生方から五三会の実行委員の方々に感謝と学生たちには益々の活躍を期待したい。
講評
課題 『21世紀の家族像から考える新しい住宅』
身近な共同体である家族とは何なのか?家族の存在を考えていく中に住むための器を再考する要素があり、そこから導かれる新たな価値観を携えた住宅を今回のコンペで期待した。応募案全体の印象は家族という単体の住宅から町全体へ波及していくような住宅まで、どれもが様々な視点で家族像を捉えており、現代の多様な社会状況が学生の視点から照射されているようでとても興味深く、各案の表現や模型など実に力作が多かった。特筆すべきは最終審査過程での上位七案の提案者同士でのディベートである。それぞれの家族像に対する思考や価値観が討論の中に垣間見られていたからである。家族像を考えることはとても幅が広く審査する側も難しいだけに、提案者への質疑や応答から少し先の未来を予感させるようなリアリティある提案を受賞作品として決めさせていただいた。
一等(福島・釜本・小島)案は住むという行為を掘り下げていく中で見える人との接点を建築化している案である。提案では共働き・単身世帯・趣味があうシェアハウスという三つのタイプから見える、住む行為を上手く地域へのセミパブリックな空間として展開し、非血縁者との接点を積極的に生成しようとする提案に可能性を感じた。敷地という領域をプライベートに囲っていくのではなく、生活行為から滲み出る特性を介して地域へ接続していく観点は、様々な家族像から生み出される自然発生的な面白さと広がりを感じた。多様な「住宅+○○○」が町に点在しネットワークしていく様は、現代の家族像から生まれる新たなリアリティを予感させる秀逸な提案であった。
二等(上田・山根・市原・香々美)案は1等案と最後まで競った案である。血縁者としての家族だけで住むことが住宅ではないという観点から、非血縁者を取り込みながら用途を特化しない大きな空間プランなど、予定調和でない他者的な生活の場を生成しようとする意欲的な案だ。寛いだり、寝たり、食べたり、という日常の深い部分で他者との接点を試みている点が興味深い。ライフスタイルの進んだ現代の延長として、また食客などよそ者を受け入れていた時代を顧みると、十分なリアリティを持ち得る新たな家族像を感じさせた。
三等(山下・村田・佐藤・中村)案は他人同士である夫婦の視点から家族を捉え、夫婦をつなぐ要素は子供であり自立すれば夫婦である必然性はないというドライな思考からはじまっている。離婚を前提にしている時点でどうしてもプランが予定調和に見えてしまうのが否めない案であった。しかし、最近では他人同士が一定の時間や価値観を共有し、幸せであったと認め合いながら離婚していく離婚式などがある社会状況を考えると、これもまた現代の価値観から生まれる都合の良い距離感を包含する住宅であると感じさせた案でもある。夫婦という他人同士の家族像から見える新たな価値観を考えさせる視点であった。
三等(河本・平・前田・新山・松岡)案は一人親家庭に視点を当てており、子供に対しての支援を同じ家族形態の人たちによって育みながら小さな町のような場を生成している案である。女性が子供の生活行為を軸にして様々な行為がインタラクティブに広がっていくプランが魅力的である。反面、一人親家庭をシングルマザーだけで捉えた点が気になった。異性のシングルファーザーのシェアタウンでは少し価値観も変わり違った展開も見えたような気がしたからである。そして、このような特性を持つシェアタウンが身近な地域へどのようにコミットしていくのかがもう少し見えてくると、共同体としての新たな可能性を予感させる案に飛躍したように感じた。
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